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偏差値の意味と模試の使い方が分かれば合格は近づく

この記事の目次

     
     

    模試の「受けっぱなし」は厳禁!

     
    医学部受験や歯学部受験に向けて日々勉強を続けている皆さんは、模擬試験も受けているでしょう。
    せっかく受けた模擬試験を上手く活用出来ていますか?
    模擬試験を受けるとなると、1日がつぶれてしまいます。
    1日つぶして受ける模擬試験ですから、受けるだけでなく上手く活用してください。
     
    模試を受けるのはいいのですが、中には模試を受けただけで「受けっぱなし」の受験生もいます。
    こういった受験生は、もちろん多くは無いのですが「模試の受け方、使い方」を分かっていない受験生は少なくないと感じます。
     
    「模試を受けたら時間を置かずに見直し、やり直しを」
    高校の先生も塾の先生も、こういった指導は間違いなくしているでしょう。
    どの程度深くやるかは別にして、ほとんどの受験生の皆さんは、ここはやっているでしょう。
     
    ところが模試を受けて1カ月ほど経つと成績表が戻ってきますが、成績表が戻って来てからの「模試の使い方」が分かっていない受験生が多いように思います。
     
    成績表が戻ってきたら受験生の皆さんが真っ先に見るのは、「偏差値」です。
    「偏差値」を見て一喜一憂です。
    医学部受験生も歯学部受験生も、そして保護者の方も「偏差値」を非常に気にします。
     
    模試の偏差値は、模試を受けた人(母集団)の中の自分の位置を表します。
    河合塾と駿台予備学校の記述模試を比べても、母集団の違いから駿台予備校の記述模試の方が偏差値は低くなる傾向があります。
    東大志望者だけが受験する「東大模試」では、いつも偏差値60程度の受験生でも、偏差値40台もあるでしょう。
     
    医学部や歯学部を目指す受験生本人が「偏差値」を理解することは大切ですが、保護者が「偏差値」を正しく理解し、受験生本人に「偏差値」をきちんと理解させることも欠かせません。
     
    「医学部の偏差値ランキング」、「歯学部の偏差値ランキング」は、受験生も保護者も非常に気にします。
    そして、これにとらわれる傾向は、はっきり見て取れます。
     
     
     

    具体例から考える、偏差値ランクと入試難易度の関係性

     
    受験生や保護者の皆さんに質問です。
     
    東邦大学医学部と近畿大学医学部は、どちらが難しいのでしょうか?
    最新の私立医学部偏差値ランクを見てみましょう。
     
     
      駿台 河合塾 進研(ベネッセ)
    近畿大学医学部 59 65.0 74
    東邦大学医学部 58 67.5 74
     

    駿台予備学校は、「東邦大学より近畿大学の方が難しい」としていますが河合塾は、「東邦大学は近畿大学より難しい」としています。

    全く逆の見解です。
    そしてベネッセ進研模試は、「東邦大学医学部と近畿大学医学部の難易度は同じ」としていて三者三様です。
     
    私立歯学部の日本大学松戸歯学部と朝日大学歯学部を比べてみましょう。

     

      駿台 河合塾 進研(ベネッセ)
    日本大学松戸歯学部 45 BF 52
    朝日大学歯学部 45 37.5 45
     
     
    ここでも、2校の入試難易度について、それぞれ全く異なる見解です。
    駿台予備学校は、「どちらも入試難易度は同じ」とし、ベネッセ進研は「松戸歯学部の方が難しい」とし、河合塾は「朝日大学歯学部の方が難しい」としています。
    特に、河合塾は日本大学松戸歯学部をBFとしています。
    駿台予備校もベネッセも、日本大学松戸歯学部の入試難易度を「私立歯学部の真ん中程度」としている中でのBFです。
     
    河合塾のBFとは、「不合格者が少なくボーダーラインを設定することが出来ない」ということで、極端な言い方をすると「不合格となる受験生は、ほとんどいない」という意味です。
    私立歯学部受験では、受験者の数が少なく「偏差値」はブレがちです。
     
    受験生本人や保護者が、「偏差値」に振り回されないようにするためには、一つの模試の偏差値ランクだけを見るようなことは避けることが大切です。
     
    私立医学部や私立歯学部の実際の難易度がよく分からなければ、詳しい予備校に聞いてみるのが一番だと思います。
    オンライン個別指導メルオンは、そういったお問い合わせを歓迎します。
     
     
     

    学校推薦型選抜は「自分に合った入試か?」を考える

     
     
    さて、「偏差値」の話が長くなりましたが、「偏差値ランキング」はあくまで一般選抜の入試難易度を表しています。
    学校推薦型選抜(推薦入試)、総合型選抜(AO入試)の難易度とは違います。
    医学部や歯学部の学校推薦型選抜、総合型選抜の志望校を考える時には、模試の成績表に書かれた「偏差値」や「合格可能性判定」にとらわれることなく志望校を考えるようにして下さい。
    それは、あくまで一般選抜(一般入試)を受験する際の参考値に過ぎません。
     
    医学部や歯学部の学校推薦型選抜(推薦入試)の受験校を考える際には、「自分に合った入試か?」を考えて下さい。
     
    一口に学校推薦型選抜と言っても、大学によって試験内容は異なります。
    福岡大学医学部や久留米大学医学部、獨協医科大学医学部、愛知医科大学医学部の学校推薦型選抜の学力試験は、英語と数学だけになります。
    東京女子医科大学の医学部学校推薦型選抜では英語も数学も理科も、出題されません。
     
    東京医科大学医学部の推薦入試(学校推薦型選抜)の基礎学力検査では数学と理科3科目を解かなければなりません。
    英語は出題されませんが、英文を使った小論文が出題されます。
    これは英文を英語で要約させますので、よほどきちんとした「東京医科大学の英語小論文対策」をやっていないと歯が立たないでしょう。
     
    私立歯学部推薦入試(学校推薦型選抜)も同様で、東京歯科大学や大阪歯科大学の推薦入試のように英語、数学、理科1科目が出題されます。
    一方、日本歯科大学の学校推薦型選抜では英語のみになります。
    昭和大学歯学部の学校推薦型選抜では、理科は2科目解かなければなりません。
    ただし理科は、「基礎」からの出題になります。
     
    面接もグループ討論であったり、MMIであったりしますので、「自分に合った試験か?」をしっかり見極めて下さい。
     
     
     

    模試結果から具体的な学習イメージを掴む方法

     
     
    さて、模試の成績表が返ってきたらやるべきことの第一は、志望校内での自分の状況を見て、「科目別に、あと何点取れば合格圏に入れるか」を考えることです。
    これを考えることで、今後の具体的な学習イメージがつかめます。
     
    次に、「受験者全体の設問別正答率」を見て下さい。
    この中で、受験者全体の正答率が50%を上回っている問題で、自分が落としているものがあれば、「落としてはいけない問題を落とした」ことになります。
     
    医学部入試でも歯学部入試でも、他の受験生が解いてくる問題を落としていては勝負になりません。
    他の受験生が解ける問題は自分も確実に解かなければ合格は見えて来ません。
    模試の成績表が返ってきたら「設問別正答率」をチェックして下さい。
    そして、「落としてはいけない問題」は確実に解けるようにしておいて下さい。
     
    なお、医学部志望者は設問別正答率40%以上の問題を「落としてはいけない問題」と考えて下さい。
    学力上位の受験生であれば、正答率35%ないし30%までを「落としてはいけない問題」と考えていいでしょう。
     
    成績表と同時に、自分の答案用紙も返却されます。
    答案用紙と成績表を見て、計算間違いやマークミス、問題文の読み間違いなどの「ケアレスミスは無かったか」を確認してください。
     
    ケアレスミスがあったとしたら、「やっちゃった。次、気を付ける」で終わらせてはいけません。
    「次、気を付ける」では、次も同じミスをしてしまいます。
     
    返ってきた答案を見て、「なぜ、そのようなことをしてしまったのか」を考えなければなりません。
    「計算用紙の使い方が良くなかった」、「問題文をきちんと読まずに解き始めた」「別の選択問題の解答用紙にマークしてしまった」など、具体的にミスの原因を探ることが大切です。
     
    具体的なミスの原因が分かれば、試験の際に同じような場面で具体的に気を付けることが出来ます。
    こうすることで、ケアレスミスを少なくすることが出来ます。
     
     
     

    「自分にとって必要な問題」に集中しよう

     
     
    最後に、「模試は全ての大学受験生を対象に作られている」ことを理解して下さい。
    模試は、国公立大学志望者も私立大学志望者も対象にしています。
    文系受験生も理系受験生も対象にしています。
     
    ですから、「私立医学部入試や私立歯学部入試では、出そうにない問題」も出題されます。
    そういった問題は、解けても解けなくても実際の入試の合否とは関係しません。
     
    医学部受験、歯学部受験で合格を勝ち取るためには、「そこで出された問題で合格点を取る」ことが出来ればいいのです。
    「出ない問題」は、解けても解けなくても合否に関係してきません。
     
    受験生の皆さんは医学部受験、歯学部受験で「出題された問題」で合格点を取るための勉強を心掛けて下さい。
    受験生は、難しい問題をやりたがります。
    しかし、「その問題は出題されない」ということが多くあります。
    高校や塾・予備校でも必要以上に難しいことをやらせたがります。
     
    模試の問題でも、「国公立医学部志望者なら解きたい問題」も出題されますが、私立医学部志望者は気にする必要はありません。
    私立歯学部志望者なら「解けなくてもいい問題」が模試で多く出題されます。
     
    模試を受けて答案が戻ってきたら、「自分にとって必要な問題はどれか」を考えながら見直しをして下さい。
    志望校の合否に関係しない問題をやっている時間はありません。