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日本大学歯学部の偏差値は?求める人物像から入試対策まで歯学部受験のプロが解説

この記事の目次

     

    日本大学は1889年(明治22年)に創立された日本法律学校を前身とし、16学部87学科、学生数7万人を擁する、日本最大の大学です。

     

    1.日本大学歯学部に関する基本情報

     

    1-1.日本大学歯学部・松戸歯学部の概要

     

    日本大学は1889年(明治22年)に創立された日本法律学校を前身とし、16学部87学科、学生数7万人を擁する、日本最大の大学です。
    アメリカンフットボール部の不祥事で評価を下げたことはご存じだと思いますが、志願者数・受験者数をかなり減らしたものの、医学部と歯学部はそれほど大きな打撃を受けていません。受験生が自分の受験と将来について現実的な判断をした結果かと思います。

     

    日本大学の歯学部は「日本大学歯学部」「日本大学松戸歯学部」の2つあります。
    日本大学歯学部(以下、「歯学部」と表記します)は、1916年(大正5年)に東洋歯科医学校として設立されたことに始まり、2016年(平成28年)に創設100周年を迎えました。建学の趣旨は「医学的基礎に立脚した歯科技術の向上と人格の教化」となっています。
    日本大学松戸歯学部(以下、「松戸歯学部」と表記します)は、1971年(昭和46年)に日本大学松戸歯科大学として開学し、1976年(昭和51年)に日本大学松戸歯学部と改称しました。

     

     

    1-2.日本大学歯学部・松戸歯学部が望む学生像とは?

     

    歯学部、松戸歯学部のアドミッションポリシーは、それぞれ下記の通りです。

     

    【歯学部】
    歯科医学に関する豊かな知識と高いリサーチマインドを有し、優れた教育・研究者を志す人材を求める。

    1.自主創造の精神に基づき、独創的な研究ができる人。
    2.研究者または教育者となる強い目的意識と高い倫理観をもつ人。
    3.自己課題とさらなる探究心に挑戦する力を持ち続けて努力する人。
    4.生涯にわたる探求意欲を持続し、国際的な視点から社会貢献したい人。

     

    【松戸歯学部】
    松戸歯学部の教育理念・目標に合致した人を選抜するために,基礎的学力,論理的思考力やコミュニケーション能力などに関する試験を実施し,医療人としての資質を総合的に評価し,以下の資質を持つ人を受け入れる。

    1.歯科医学を通じて社会に貢献する志を有する人。
    2.歯科医学を修得するための基礎的な学力とコミュニケーション能力を兼ね備えている人。
    3.自主的に学ぶ姿勢と創造性に富み,論理的で柔軟な思考力を有する人。
    4.他人に対する思いやりを持ち,社会的責任感が強く,多様な価値を受容する寛容性と奉仕的精神を備えている人。
    5.他人に対する思いやりを持ち,社会的責任感が強く,多様な価値を受容する寛容性と奉仕的精神を備えている人。

     

    特に「歯学部」では、「教育・研究者」を志す人材を求めていることが伺えます。

     

     

    1-3.日本大学歯学部の偏差値

     

    河合塾、駿台予備学校、ベネッセ(進研模試)の歯学部偏差値ランキングを見ると歯学部、松戸歯学部の偏差値は下記のようになっています。

     
      河合塾 駿台 ベネッセ
    東京歯科大学 55.0 50 65
    日本大学 55.0(N方式) 47(本学) 60(本学)
    日本大学 47.5(A方式) 45(松戸) 52(松戸)
    昭和大学 52.5 49 65
    大阪歯科大学 50.0 49 57
    日本歯科大学 47.5 47 61

     

    偏差値ランキングは、歯学部か松戸歯学部か、あるいは入試方式によって各社まちまちです。
    河合塾や駿台と比べ、ベネッセでは平均(偏差値50)を超えます。自身が受験した模試に合わせてランキング表を確認してください。例えば、進研模試の偏差値を河合塾のランキング表で確認してはいけません。
    また、「偏差値ランキング」は一般選抜を対象としていますので、推薦入試等の入試方式の難易度とは異なりますから注意してください。

     
     
     

    2.2. 日本大学歯学部・松戸歯学部の入試

     

    日本大学歯学部は歯学部も松戸歯学部も一般選抜以外に共通テスト利用方式、学校推薦型選抜(公募制)を設定しています。
    そして、松戸歯学部では指定校制推薦選抜、総合型選抜も実施しています。自分の受験の仕方に合わせて最適な方式を選んでください。そのためにも、入試方式を熟知している人に相談することが重要です。

     

    2-1.一般選抜

     

    【歯学部】
    N方式(他学部と併願可能な全学統一方式)A方式(歯学部個別方式)があります。

     

    ・N方式
    第1期と第2期の2回あります。募集人員はそれぞれ9名、3名と少ないですが、全学統一試験のため、問題の難易度はそれほど高くありません。ただし、個別方式との整合性を取るために合否判定には標準化得点が用いられます。標準化得点とは、素点と全体の平均 点との差を、標準偏差を単位として表したものです。受験生の科目の平均点を50になるように補正し、科目間における問題の難易度を調整するものです。
    N方式の試験科目は、「英語」「数学(Ⅰ・A・Ⅱ・B(確率分布と統計的な推測を除く))」「理科(「物理基礎・物理」,「化学基礎・化学」,「生物基礎・生物」から1科目選択)」です。

    ・A方式
    募集人員は60名で、試験科目は「英語」「数学Ⅰ・Ⅱ」「理科(「物理基礎・物理」、「化学基礎・化学」、「生物基礎・生物」から1科目選択)」「小論文」「面接」です。
    小論文と面接がそれぞれ50点、30点と配点されていることが大きな特徴で、最低基準が設けられていて、基準に達しない場合、総合得点が合格最低点を超えていても不合格となります。また、学力検査、小論文、面接の総合得点が同点の場合、小論文と面接の合計点が高い者が優先され、さらに同点であった場合は面接の点数が高い者が優先されます。つまり小論文と面接の出来が合否を分けることになる点に注意が必要です。

     

    【松戸歯学部】
    N方式(他学部と併願可能な全学統一方式)とA方式(歯学部個別方式)があります。

     

    ・N方式
    第1期と第2期の2回あります。募集人員はそれぞれ8名、2名と少ないですが、全学統一試験のため、問題の難易度はそれほど高くありません。問題は歯学部と同じです。ただし、個別方式との整合性を取るために合否判定には標準化得点が用いられます。
    試験科目は「英語」「数学・理科(数学Ⅰ・A・数学Ⅱ・B(確率分布と統計的な推測を除く)、物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物から1科目選択)」の2科目ですが、学力検査の総合得点が同点の場は書類審査(出身学校調査書等「全体の学習成績の状況」「出席状況」)の評価が高い者が優先される点に注意が必要です。

    ・A方式
    募集人員は45名ですが、合格基準に達しない場合は合格者数が募集⼈員に満たないことがあるという但し書きがあります。
    試験科目は、「英語」「数学・理科(数学Ⅰ・Ⅱ、物理基礎・物理、化学基礎・化学、生物基礎・生物から1科目選択)」「小論文」「面接」です。A方式には2期もあり、募集人員は10名、合格基準に達しない場合は合格者数が募集⼈員に満たないことがあるという点と試験科目は1期と同じです。

     

     

    2-2.学校推薦型選抜(専願)

     

    学校推薦型選抜には「公募制」と「指定校推薦」がありますが、歯学部で設置しているのは「公募制」だけです。松戸歯学部は「指定校推薦」を設置しています。
    ここでは「公募制」について説明します。松戸歯学部を「指定校推薦」で志願する場合は募集要項をよく確認してください。
    募集人員は、歯学部が7名、松戸歯学部が3名で、松戸歯学部は一般選抜と同じく「合格基準に達しない場合は合格者数が募集⼈員に満たないことがある」という但し書きがあります。また、松戸歯学部には「調査書「全体の学習成績の状況」が3.3以上の者」という出願要件がありますが、歯学部には調査書に関する出願要件はありません。

    歯学部、松戸歯学部の選考方法(試験科目)は以下の通りです。

     

    【歯学部】書類審査・適性試験・小論文・面接

    小論文及び面接にはそれぞれ最低基準が設けられ、基準に達しない場合は総合得点が合格最低点を超えていても不合格となります。
    また、総合得点が同点の場合、小論文と面接の合計点が高い者が優先され、さらに同点であった場合は、面接の点数が高い者が優先されます。

    【松戸歯学部】書類審査・小論文・面接

    歯学部、松戸歯学部共に英語や数学といった学科試験(学力検査)は課されません。一方で、小論文と面接にはそれぞれ50点の配点があります。つまり、小論文と面接が合否を分けるということになります。

     

    2-3.総合型選抜(専願)

     

    松戸歯学部では、総合型選抜を実施しています。
    第1期から第3期まで3回あり、募集人員は第1期12名、第2期3名、第3期2名ですが、合格基準に達しない場合には、合格者数が募集⼈員に満たないことがあります。
    出願に際しては3期共まずエントリーシートを提出します。エントリーシートは、大学のサイトからダウンロードして入手します。
    選考方法(試験科目)は、「基礎学⼒検査(英語,数学,国語)」「小論文」「面接」です。基礎学力検査は100点、小論文と面接はそれぞれ50点で合計100点ですから小論文と面接が合否を分けることになります。

     

    2-4.共通テスト利用入試

     

    歯学部にも松戸歯学部にも共通テスト利用入試制度があります。どちらも第1期と第2期の2回あり、共通テスト受験後に出願することができます。募集人員は、歯学部第1期10名、第2期2名、松戸歯学部第1期3名、第2期2名です。
    指定科目は次の通りです。

     

    【歯学部】
    第1期 「英語」「国語(近代以降)」「理科(物理、化学、生物から第1解答科目)」
    第2期 「英語」「理科(物理、化学、生物から第1解答科目)」
    第1期第2期共に英語のリスニングは含みません。総合得点が同点の場合は、英語の点数が優先されます。第1期については、総合得点と英語が同点の場合、理科の点数が優先されます。

     

    【松戸歯学部】
    第1期 「英語」「国語(近代以降)」「理科(物理、化学、生物から第1解答科目)」
    第2期 「英語」「数学(数学Ⅰ、数学Ⅰ・Aのどちらかと数学Ⅱ、数学Ⅱ・Bのどちらかの計2科目)」「理科(物理、化学、生物から第1解答科目)」
    総合得点が同点の場合は、書類審査(調査書の「全体の学習成績の状況」と「出席状況」)の評価が高い者が優先されます。

     

     

    3.日本大学歯学部・松戸歯学部受験のポイント

     

    3-1.学力試験対策

     

    日本大学歯学部・松戸歯学部の学力試験は多様ですから、出願、受験を検討する場合は専願(第一志望)であるかどうかに関わらず、日程と試験科目を確認しましょう。
    N方式(全学統一試験)、A方式(個別試験)という入試方式は日本大学独自のものと思われがちですが、学部数、学生数の多い大学では一般的で、全学統一試験の方が問題の難易度はそれほど高くないのも一般的です。募集人員が少なく、高得点勝負になることが多いですが、日本大学歯学部・松戸歯学部を受験する場合はN方式での受験も検討すべきだと思います。

     

    3-2.小論文対策

     

    日本大学歯学部・松戸歯学部ともに一般選抜A個別方式の小論文には50点の配点があります。
    つまり試験科目の一つとして絶対におろそかにしてはいけないということです。歯学部、松戸歯学部の過去問をいくつか挙げておきます。
    確実に8割(40点)以上が狙えるように対策を重ねましょう。

     

    【歯学部】
    ・2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsの17項目について、現時点で皆さん自身は、どのように考え、さらには具体的に何か行動していますか?あなたが、現在考えていることと具体的な行動について記載して下さい。
    ・法令上の制限がある中で、皆さんがコロナ禍における患者の立場から、歯科医師に求めるオンライン診療での対応としては、どのようなことを考えますか?あなたの考えを述べてください。
    ・あなたが歯科医師以外の職業を選ぶとすると、どのような職業を希望しますか。そしてその職業により、あなたはどのように社会に貢献できると考えますか。さらにその職業に就くためには、どのような知識、技量の習得および経験が必要と考えられますか。希望する職業、社会貢献の内容、必要な知識・技量・経験についてあなたの考えを記載して下さい。

     

    【松戸歯学部】
    ・AI の歯科医療への応用について、あなたの考えを述べなさい。
    ・ICT(情報通信技術)の歯科医療への応用について、あなたの考えを述べなさい。
    ・全身疾患と歯科疾患の関係について、あなたの考えを述べなさい。

     

    3-3.面接対策

     

    日本大学歯学部・松戸歯学部の面接対策に際しては過去から未来に渡る「自分ストーリー」を意識するようにしてください。くれぐれも「問答集」など個別の質問に単純に答えるスタイルの対策に終始することのないように注意すること。
    50点の配点がありますから、これはもう立派な「試験科目」です。付け焼刃的な想定問答では対応できません。よく「面接は受け答えがきちんとしていれば大丈夫だ」という指導が行われることがありますが、そんなことはありません。面接対策をおろそかにしないことが大切です。

     

    3-4.日本大学歯学部・松戸歯学部受験のまとめ

     

    日本大学歯学部・松戸歯学部の入試は方式も日程も多彩です。出願、受験を検討する際は募集要項を入念に確認しましょう。
    特に、「歯科大学」にはない「全学統一方式(N方式)」は注意が必要です。他にはない方式で、歯学部を受験するみなさんは多くが複数の大学を受験するでしょうから、全学統一方式という耳慣れない試験は避けて個別方式の受験に絞る人が多く、また指導する側もそのように指導する場合が多いのですが、それではいけません。必ず、日本大学歯学部・松戸歯学部の入試についてよく知っている人の指導を受けてください。