• 医学部・歯学部News
  • 日本歯科大学の偏差値は?求める人材から入試対策まで歯学部受験のプロが解説

医学部・歯学部News

合格請負人田尻が大学ごとの入試対策から最新の私立医学部・歯学部の動向までを日々配信中

日本歯科大学の偏差値は?求める人材から入試対策まで歯学部受験のプロが解説

この記事の目次

    1.日本歯科大学に関する基本情報

     

    1-1.日本歯科大学が望む学生像とは?

     

    日本歯科大学には東京にある生命歯学部と新潟市にある新潟生命歯学部の2つの歯学部を持っていますが、2つの歯学部のアドミッションポリシーは同じです。

    日本歯科大学のアドミッションポリシーは、以下のとおりです。

     

    1.生命体と歯科医学の関連に強い関心をもって追及できる人
    2.高い目標意識を持ち、相手の気持ちを理解できる人間性豊かな人
    3.医療人として地域社会に貢献する強固な意志を持つ人
    4.歯科医学に関する知識、技能、態度を十分習得できる基礎学力のある人
    5.プロフェッショナルとして高い倫理観をもつ人
    6.高いコミュニケーション能力をもつ人
    7.国際的な活動に関心を持ち、必要性を認識できる人
    8.超高齢社会における歯科医師の役割を理解できる人
    9.生涯にわたり継続的に能力の向上に努める人

     

    となっています。

     

    このうち、歯学部入試で重要視されるのは1から4になります。
    日本歯科大学が望む学生像は、「歯科医学に強い関心を持ち、医療人として地域社会に貢献する強い目的意識を持ち、基礎学力のある人」と言えます。
    面接では、「自分はこういう人だ」ということを面接官に伝えられるようにして下さい。

     

    1-2.日本歯科大学の偏差値

     

    歯学部の偏差値とは、その大学の一般選抜に合格するためのボーダーライン偏差値のことを言います。この「歯学部の偏差値ランキング」は河合塾、駿台予備学校、東進、ベネッセが発表しています。
    このうち、東進とベネッセについては模試の受験者層に偏りがあり、信頼性に問題があると考えられます。 歯学部の偏差値ランキングを見る際は、河合塾と駿台予備学校の「歯学部偏差値ランキング」を見るといいでしょう。
    河合塾と駿台予備学校の、日本歯科大学の偏差値は下記のようになっています。

     
     
     
      河合塾 駿台予備学校
    日本歯科(東京) 47.5 47
    日本歯科(新潟) 42.5 44
    東京歯科 55.0 50
    昭和 52.5 50
    日本(歯) 47.5 47
    大阪歯科 50.0 49
     

     

    私立歯学部人気校の偏差値を見ると、日本歯科大学生命歯学部は日本大学歯学部と同じ難易度とされています。また、日本歯科大学新潟生命歯学部の偏差値は、私立歯学部の人気校に比べるとやや低い偏差値となっています。
    日本歯科大学でも、東京にある生命歯学部と新潟生命歯学部とでは、難易度に差があります

     

     

    私立歯学部の偏差値ランキングは、サンプル数が少ないため誤差が生じやすくなります。そのため、河合塾、駿台予備学校どちらかの「歯学部偏差値ランキング」を見るのではなく、両方の偏差値ランキングを見ることをオススメします。

     

     

    なお、「歯学部の偏差値ランキング」は、先ほど述べた様に「一般選抜(一般入試)」の難易度を表したものです。推薦入試(学校推薦型選抜)や総合型選抜(AO入試)、編入学試験の偏差値(難易度)については私立歯学部受験に詳しい、メルオンなどに聞いてみるといいでしょう。

     

    1-3.日本歯科大学の偏差値推移

     

    駿台予備学校が発表する、日本歯科大学の偏差値を2010年から見て行きましょう。

     

     

      2010年 2015年 2020年 2024年
    日本歯科(東京) 55 50 51 49
    日本歯科(新潟) 47 47 48 47
    日本(歯) 51 50 48 49
     

    日本歯科大学の生命歯学部も新潟生命歯学部も、2010年度からの偏差値の動きは、同じような動きをしています。ただ、以前は生命歯学部と新潟生命歯学部の偏差値の差は、「3」でしたが、2024年度入試では偏差値の差は「2」に縮まっています

     

    2024年度入試の偏差値では生命歯学部と同じ偏差値の日本大学歯学部ですが、偏差値の推移を見て行くと難易度が入れ替わったりしていることが分かります。

     

    1-4.日本歯科大学の歴史

     

    日本歯科大学は1907年(明治40年)に中原市五郎によって、東京都千代田区に設立された日本で最初の歯科医学学校で120年近い歴史と伝統を持つ大学です。
    また、1972年には新潟生命歯学部を増設しています。

     

    日本歯科大学は歴史と伝統を誇るだけでなく、これまで「日本初」「歯科大学初」を多く送り出しています。例えば、1987年に高齢社会の到来に備え、「在宅往診ケアチーム」を立ち上げ、訪問歯科診療を始めています。この発展形として2018年に外来患者を受けない訪問診療専門のクリニックを新潟県三条市に開設しています。

     

    また、2012年には摂食障害・嚥下障害者の口腔リハビリテーションを専門とする口腔リハビリテーション多摩クリニックを開院しています。
    日本歯科大学は、社会のニーズの変化に敏感に反応し、「虫歯を治療する歯科医師」から「生涯を通じて美味しく食べることを支える歯科医師」の養成に切り替えています。

     

    1-5.日本歯科大学の施設

     

    日本歯科大学は東京と新潟に2つのキャンパスを持っています。この2つのキャンパスに2つの大学院、2つの附属病院、2つの図書館を持っています。
    東京には口腔リハビリテーション多摩病院があり、新潟には在宅ケア新潟クリニックを有しています。
    研究施設として東京に共同利用研究センター、新潟に先端研究センターを持ち、新潟には医の博物館もあります。

     

    1-6.歯科医師国家試験合格率

     

    2023年に行われた第116回歯科医師国家試験の結果は以下のとおりでした。

     

      総数 新卒 既卒
    日本歯科(東京) 76.5% 86.3% 55.3%
    日本歯科(新潟) 75.8% 83.3% 41.7%
    私立合計 60.1% 75.5% 41.1%
    総合計 63.5% 77.3% 42.2%
     

     

    日本歯科大学の歯科医師国家試験合格率は生命歯学部も新潟生命歯学部も、私立大学全体の合格率、国公立大学歯学部と私立大学歯学部を合わせた全ての歯学部を合わせた合格率を上回っています

    新潟生命歯学部は「偏差値」が高くない歯学部ですが、歯科医師国家試験合格率は偏差値上位校と肩を並べます
    歯科医師国家試験合格率の高い大学の中にも、「歯科医師国家試験に合格出来そうな学生だけを受けさせる」大学も見受けられますが、日本歯科大学は「絞り込んでいる」とは言えません。

    ただ、日本歯科大学の生命歯学部も新潟生命歯学部も新卒の合格率と既卒の合格率には差があります。卒業時に歯科医師国家試験に合格する実力をつけておかないと、国家試験浪人をしても厳しいと言えます。

     

    1-7.日本歯科大学の入試の特徴

    (1)一般選抜

    日本歯科大学の一般選抜は生命歯学部も新潟生命歯学部も、英語と理科1科目の他に、数学と国語のどちらかを選択して受験します。数学に苦手意識のある受験生は、数学に替えて国語を選択することが出来ます。学力試験の試験時間は、各科目とも60分になります。なお、数学の試験範囲は数学1・Aとなります。

    学力試験の他に面接が課されますが、小論文はありません。

     

    (2)共通テスト利用入試

    日本歯科大学の共通テスト利用入試の募集人員は、生命歯学部では前期約20名、後期約5名で行われます。新潟生命歯学部では前期約10名、後期若干名で行われます。共通テスト利用入試は生命歯学部の方が募集人員が多くなっています。
    合否判定に使用される科目は生命歯学部も新潟生命歯学部も同じで英語、理科1科目と数学または国語(近代以降)となります。ここでも、数学か国語のどちらかを選ぶことになります。

     

    (3)学校推薦型選抜(推薦入試)

    日本歯科大学の学校推薦型選抜(推薦入試)の試験科目は生命歯学部も新潟生命歯学部も英語と小論文、面接になります。数学や理科は課されませんので、英語に自信のある受験生が多くなります
    受検資格は生命歯学部が現役のみ、新潟生命歯学部が1浪までで、どちらも評定平均での縛りはありません
    募集人員は生命歯学部が約40名、新潟生命歯学部が約10名となります。

    生命歯学部の推薦入試では、募集人員を超えて合格者を出しています。募集人員約40名で行われた2023年度の推薦入試は受験者66名で、合格者は募集人員を24名超える64名で、不合格者は2名だけでした。

    新潟生命歯学部の2023年度推薦入試は募集人員約10名に対し受験者9名、合格者9名でした。新潟生命歯学部では、総合型選抜(AO入試)を行っており先にAO入試が行われるため、推薦入試の受験者は少なくなる傾向にあります。

     

    (4)総合型選抜

    日本歯科大学では新潟生命歯学部で総合型選抜(AO入試)が行われていて、生命歯学部では総合型選抜は行われていません
    新潟生命歯学部のAO入試では学力試験は行われません。個人とグループの2つの面接と実技評価が行われます。実技評価では、「豆を箸でつまんで別の皿に移す」ようなことが行われます。
    受験資格に年齢や評定平均での縛りはなく、基本的に誰でも受験することが可能です。ただし、オープンキャンパスへの参加は求められます。
    2023年度入試の結果は、1期の受験者は14名で合格者は12名でした。2期では受験者3名に対して合格者は2名でした。

     

    (5)編入学試験

    日本歯科大学の編入学試験は、学校推薦型選抜と同じ日に同じ試験内容で行われます。試験科目は英語、小論文、面接となります。
    2023年度の編入学試験は、生命歯学部では17名が受験し12名が合格しました。新潟生命歯学部の編入学試験は、前期も後期も2名が受験し1名が合格しています。
    なお、募集人員は、いずれも若干名です。

     

    2.日本歯科大学の偏差値や難易度を解説

     

    2-1.2024年度入試の偏差値

     
      河合塾 駿台予備学校
    日本歯科(東京) 47.5 47
    日本歯科(新潟) 42.5 44
    東京歯科 55.0 50
    昭和 52.5 50
    日本(歯) 47.5 47
    大阪歯科 50.0 49
     

    日本歯科大学一般選抜の偏差値は上のとおりですが、一般選抜は多くの日本歯科大学志望者が推薦入試で合格を決めた後の試験になります。

    私立歯学部の人気校は、東京歯科大学、昭和大学歯学部、日本大学歯学部、大阪歯科大学そして、日本歯科大学生命歯学部で、この5校と他の歯学部では難易度に差があります

    日本歯科大学生命歯学部は、人気校の中では比較的受けやすい大学、と言えるでしょう。

    日本歯科大学新潟生命歯学部の偏差値は、人気歯学部とは差があります。これは、キャンパスのある場所が新潟市と言うことが大きく影響していると考えられます。
    新潟市にあるからこそのいいところもありますし、歯科医師国家試験合格率もいいので、受験生の皆さんにはもっと注目してもらいたい歯学部です。

     

    2-2.歯学部偏差値ランキング

     
      駿台予備学校河合塾 河合塾
    東京歯科大学 50 55.0
    昭和大学 50 52.5
    大阪歯科大学 49 50.0
    日本大学(歯) 47 47.5
    日本歯科大学(東京) 47 47.5
    愛知学院大学 47 37.5
    北海道医療大学 46 35.0
    明海大学 45 40.0
    日本大学(松戸歯) 45 BF
    神奈川歯科大学 45 35.0
    朝日大学 45 37.5
    日本歯科大学(新潟) 44 42.5
    岩手医科大学 43 35.0
    奥羽大学 43 35.0
    鶴見大学 43 35.0
    松本歯科大学 43 37.5
    福岡歯科大学 43 BF
     

    私立歯学部の偏差値ランキングは、駿台予備学校と河合塾では、かなり違いがあります

    偏差値を絶対視することなく、あくまで「参考」と捉えて下さい。また、一つの私立歯学部偏差値ランキングだけを見るのではなく、両方の私立歯学部偏差値ランキングを見るようにしてください。

     

    3.日本歯科大学受験のポイントを解説

     

    3-1. 学力試験対策

     

    日本歯科大学の試験科目は、推薦・AO・編入・一般・共通テスト利用と、同じではありません
    まず、自分が受験を考えている試験の試験科目をきちんと把握してください。数学と国語のどちらかを選択する試験もありますので、その際は「どちらの方が高い点数が取れるか」を考えてください。

    学校推薦型選抜などのように過去問が公表されていない試験もありますが、メルオンのように私立歯学部入試に詳しい予備校なら過去問が無くても、受験者からの聞き取りで問題を把握しています。私立歯学部に詳しい予備校に聞いてみるのがいいでしょう。
    学力試験対策のポイントは「試験に出る問題に絞って勉強を進める」ことです。私立歯学部受験生は、必要以上に難しいことをやる傾向にあります。歯学部に詳しい先生がいないこともあり、私立歯学部入試では出ない難し目の問題をやる傾向がありますので、「自分はどこまでやればいいのか」をしっかり考えて日々の勉強に取り組んで下さい。

    また、試験時間は短めになることが多く、試験時間内で解けることを意識した勉強も欠かせません。日本歯科大学一般選抜野試験時間は各科目60分です。

    3-2.小論文対策

     

    日本歯科大学大学では生命歯学部でも新潟生命歯学部でも小論文は出題されません

     

    3-3.面接対策

    日本歯科大学の面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問は生命歯学部でも新潟生命歯学部でも、「歯学部を目指す理由(なぜ、歯科医師になりたいのか?)」と「日本歯科大学生命歯学部(新潟生命歯学部)の志望理由」です。この2つの質問が最重要となりますので、自分の言葉でしっかり言えるように準備してください。

    なお、面接は「慣れ」が重要です。高校や塾、予備校で多くの人に面接練習をしてもらうといいでしょう。なるべく、私立歯学部入試に詳しい人に面接練習をやってもらうことをオススメします。

     

    4.日本歯科大学に関するニュース

     

    日本歯科大学新潟生命歯学部が2024年4月からの学費の大幅引き下げを発表しました。現在の新潟生命歯学部の6年間の学費は、3138万円です。これが2024年度から1000万円以上引下げて6年間の学費を2100万円にします。
    この学費の大幅引下げによって17ある私立歯学部で3番目に学費負担の少ない歯学部になります。

     

    5.日本歯科大学のまとめ
     

    日本歯科大学は歴史と伝統を誇る「歯科大学の源流」ともいえる大学です。伝統に胡坐をかくことなく、常に時代をリードしてきてもいます。これまで2万人以上の卒業生を輩出してきた世界最大の歯科大学と言う面も持ち合わせています。
      
    歯科医師国家試験合格率も健闘しています。
    新潟生命歯学部では学費を大きく引き下げたことで学費負担の少ない歯学部になりました。

    日本歯科大学は今後の発展が期待される歯科大学であることは間違いありません。