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東京医科大学の偏差値は?求める人物像から入試対策まで医学部受験のプロが解説

この記事の目次

    1.東京医科大学に関する基本情報

     

    1-1.東京医科大学が望む学生像とは?

     

    東京医科大学は2016年に創立100周年を迎えました。
    そして、創立200周年に向けて、改めて「東京医科大学ミッション」を発表しました。
    そのミッションは「患者とともに歩む医療人を育てる」です。

     

    東京医科大学は医学部の中に医学科と看護学科の二つの学科を持っていますので広く「医療人」としています。

     

    「患者とともに歩む医療人を育てる」という東京医科大学のミッションの基となるのが、建学の精神「自主・自学」と校是の「正義・友愛・奉仕」です。

     

    建学の精神「自主・自学」とは、人としての生き方、一生学び続ける姿勢、バイタリティを言い表していて、医療人の矜持と考えられていて、自ら考え、自ら学び、自らの責任で決断し行動することを意味しています。

     

    「正義・友愛・奉仕」の正義とは、法令や倫理規範を遵守し、常に正しい意思で最高の医療の実現を目指すことであり、友愛とは優しさと思いやりの心を持ち、常に相手の立場を理解し、助け合うこととしています。
    また、奉仕とは自ら進んで社会へ尽くし、人類の健康と福祉に貢献すること、としています。

     

    この建学の精神と校是に基づいたミッションとして「患者とともに歩む医療人を育てる」があり、具体的には「思いやりの心を持って患者の人生に寄り添える医療人」、「高い倫理観を持ち、たゆまぬ自己研鑽により常に最善の医療を提供できる医療人」、「患者にやさしい医療の実現のための研究・活動を通して明日の医療を拓く医療人」を育成することで地域そして世界の健康と福祉に貢献することが東京医科大学の次の100年に向けたミッションとされています。

     

    東京医科大学医学部は、これらのことを具現化することの出来る学生を求めています。

     

    東京医科大学医学部医学科のアドミッションポリシーは、
    本学の建学の精神は自主・自学であり、自主性を重んじた医学教育を実践している。
    校是として正義・友愛・奉仕を掲げ、患者とともに歩むことの出来る医療人を一世紀に渡り育成してきた。

    本学では、この建学の精神、校是およびミッションを理解し、多様性、国際性、人間性を兼ね備えた医療人となる高い志を持った人材を求めている
    としています。

     

    東京医科大学で合格を勝ち取るためには建学の精神、校是、ミッションを自分の中で消化し、まさに自分こそが合致するという意識は欠かせません。

     

     

     

    1-2.東京医科大学の歴史

     

    東京医科大学を理解するためには、その設立の経緯を知ることが最初の一歩となります。

     

    大正5年(1916年)5月、日本医学専門学校(現在の日本医科大学)の学生は学校側と対立し、約450名が退学しました。
    彼らは理想とする学問の場を自分たちの手で実現しようと奔走し、同年9月に東京医科大学の前身となる東京医学講習所を設立しました。
    さらに、大正7年(1918年)には政界、財界の有志から多大の支援を受け、東京医学専門学校が設立され、昭和21年(1946年)に東京医科大学に昇格し現在に繋がっています。

     

    東京医科大学は、自分たちで理想の医学の学び舎を作ろうとした医学生たちによって作られた大学です。
    この時の精神が現在まで脈々と受け継がれてきているのが東京医科大学です。

     

     

     

    1-3.東京医科大学の偏差値

     

    河合塾の医学部偏差値ランキングによれば、東京医科大学の偏差値は昭和大学医学部、東邦大学医学部、大阪医科薬科大学医学部、関西医科大学などと同じボーダーライン偏差値67.5とされています。
    東京医科大学より偏差値上位の大学は慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部の4校だけとされています。

     

    駿台予備学校の医学部偏差値ランキングでは東京医科大学の偏差値は58とされています。

     

    「東京医科大学の偏差値」を河合塾は67.5とし、駿台予備学校は58としています。
    河合塾と駿台予備学校の「東京医科大学の偏差値」に差があるのは、それぞれの模試の受験者層の違いによります。
    単純に偏差値だけをみるのではなく、他の医学部との比較をして下さい。

     

    いずれにしても東京医科大学の偏差値は高く、医学部の中でも難関校の一つであることは間違いありません。

     

     

     

    1-4.東京医科大学の偏差値推移

     

    今から50年ほど前の東京医科大学の偏差値は52.5とされていました。
    その時の日本医科大学の偏差値は60、昭和大学医学部は東京医科大学と同じ52.5でした。

     

    そこから東京医科大学の偏差値は上昇を続け、1980年には55、1990年には60にまで上昇しました。
    さらに1995年には65、2005年からはボーダーライン偏差値は67.5となっています。

     

    私立医学部の人気上昇もありますが、東京医科大学の人気も着実に上がっています。

     

     
    1975 1985 1995 2005 2010 2015 2020 2024
    52.5 55.0 65.0 67.5 67.5 67.5 67.5 67.5
     

     

     

    1-5.東京医科大学の学費

     

    東京医科大学医学部医学科の6年間の学費は、2940万円で、私立医学部31大学で13番目に学費負担の少ない大学です。

    地域枠で入学した場合は、各自治体から修学資金の援助もあります。

     

     

     

    2.東京医科大学の入試の特徴

     

    2-1.学校推薦型選抜(推薦入試)

     

    東京医科大学の最も特徴的な入試は、学校推薦型選抜(推薦入試)になります。
    東京医科大学の推薦入試は一般公募の募集人員が20名以内、茨城県地域枠の募集人員が8名以内、新潟県地域枠の募集人員が3名以内、埼玉県地域枠の募集人員が2名以内となっています。

     

    一般公募は現役生のみですが、地域枠は1浪まで受験可能です。
    また、一般公募と地域枠の併願は可能ですが、現役生のみとなります。
    評定平均は4.0以上となっています。

     

    地域枠については年によって変化がありますので、確認をするようにして下さい。

     

    試験内容は基礎学力検査(100点)、小論文2課題(36点)、面接(24点)、書類審査(12点)で、合計172点で合否が判定されます。

     

    このうち最も配点が大きいのは試験時間70分の基礎学力検査で、ここでは数学、物理、生物、化学が出題され、英語は出題されません。
    理科は3科目が出題され全てを解く必要があり、解答はマーク式になります。

     

    理科3科目を不安に思う受験生は多いのですが、「2科目しかやっていない」という条件は全員同じです。
    まず、自分が選択している2科目を解いて、残された時間で最後の1科目を解くといいでしょう。
    どの科目も、問題文をよく読めば解ける可能性がありますので、あきらめずに問題文を落ち着いて読んで下さい。

     

    この基礎学力検査は問題が易し目ですから、案外差が付きません。
    東京医科大学推薦入試(学校推薦型選抜)で最も差が付くのは、配点36点の小論文です。

     

    東京医科大学推薦入試の小論文は、英語小論文と日本語小論文の2題が出題されます。
    日本語小論文では、難し目の課題文が示されます。
    課題文を読み解くのは簡単ではありません。
    日本語小論文以上に決定的な差が付きやすいのが、英語小論文です。

     

    英語小論文では英語の課題文が示され、それを英語で要約し、さらに英語で自分の考えを書きます。
    「英文を英語で要約」は、どの受験生もやったことがないでしょう。
    英語で自分の考えを書くことも、かなり難しいと思います。

     

    東京医科大学の推薦入試では、この小論文が合否を分ける、と言えます。
    特に英語小論文の準備をした人と準備をしていない人では、差が付くのは当然です。
    東京医科大学の推薦入試を受けるのであれば、英語小論文対策は必ずやっておいて下さい。

     

    配点36点の小論文と配点24点の面接を合わせた配点は、60点になります。
    東京医科大学推薦入試(学校推薦型選抜)で合否を分けるのは、小論文と面接になりますので、しっかりとした準備を進めてください。

     

    東京医科大学学校推薦型選抜(推薦入試)では2024年度入試から新しく「全国ブロック型学校推薦型選抜」が導入されます。

     

    これは全国を「北海道・東北」、「関東・甲信越」、「東海・北陸」、「近畿」、「九州・沖縄」の6つのブロックに分け、そこから1名ずつ合格者を出す、という入試です。
    1浪生までが受験可能で、一般公募との併願も可能です。
    ただし、一般公募との併願は現役生に限られます。

     

    東京医科大学の推薦入試(学校推薦型選抜)は、さらにチャンスが広がりました。

     

     

     

    2-2.一般選抜

     

    東京医科大学医学部医学科の一般選抜は募集人員74名で行われ、後期入試は行われません。
    2023年度入試では2537名が志願し1次試験合格者は430名、2次試験を終えての正規合格者は133名でした。
    補欠者186名から46名が繰り上げ合格となっていて実質倍率は12.8倍でした。

     

    1次試験の科目は英語、数学、理科2科目でどの科目も100点、合計400点で合否が判定されます。
    この1次試験のポイントは「試験時間60分」という点にあります。
    試験時間が短いので、手際よく解いていく必要があり時間配分が重要な要素になります。
    過去問で、自分なりの時間配分を探って下さい。

     

    東京医科大学の英語は、出題傾向に変化がありませんので過去問演習が役に立ちます。
    問題そのものの難易度は高くないので、落ち着いて確実に解いてください。

     

    東京医科大学の数学は「よくある問題」が多いものの、試験時間60分という壁が立ちはだかります。
    典型問題に慣れて、早く正確に解けるようにしておいて下さい。

     

    東京医科大学の化学では、問題1で「正文選択問題」が出題されます。
    多くの受験生が悩む問題ですので、過去問で慣れておいて下さい。

     

    東京医科大学の生物は大問3題ですが、様々な「正誤問題」が含まれています。
    正誤問題は正確な知識を求められますが、試験当日は問題文を正確に読むことが大切です。

     

    東京医科大学の物理は、原子を含む幅広い分野から出題されます。
    問題そのものは難しくありませんので、試験時間に惑わされることなく落ち着いて、確実に解いてください。

     

    東京医科大学の2次試験では小論文と面接が課されますが、小論文には60点、面接には40点の配点が付いています。

     

    60分、600字の小論文は過去問で、東京医科大学の小論文に慣れておくといいでしょう。

     

    東京医科大学の面接では、建学の精神や学是について聞かれることが多いです。
    建学の精神と学是は確実に言えるようにしておいてください。
    そして、自分なりの理解についても言えるように準備してください。
    MMIに近い質問もあります。

     

     

     

    2-3.共通テスト利用入試

     

    募集人員10名以内で行われる、東京医科大学の共通テスト利用入試ではリスニングを含む英語、数学、理科2科目に加え、国語、地歴公民1科目で合否が判定されます。

     

    出願は共通テストを受験する前に締め切られますので、「何点くらい取れそうか」を予め自分で判断しての出願になります。
    ボーダーライン得点率について河合塾は85%、駿台予備学校は84%としています。

     

    ただし、共通テストの難易度は年によって変わりますので、あくまで目安と考えてください。

     

     

     

    3.東京医科大学の偏差値や難易度を解説!

     

    3-1. 2024年度入試へ向けた偏差値

     

    いわゆる「旧設医学部」の一つである東京医科大学は医学部受験生の人気も高く、偏差値も高くなっています。

     

    河合塾の医学部偏差値ランキングでは、東京医科大学の偏差値は67.5とされており、慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学、順天堂大学医学部に次ぐ難易度の大学とされています。

     

    河合塾の医学部偏差値ランキングでは昭和大学医学部、東邦大学医学部、大阪医科薬科大学医学部などと同じボーダーライン偏差値となっています。

     

    駿台予備学校の医学部偏差値ランキングでは、東京医科大学の偏差値は58とされています。
    模試の受験者層の違いから、偏差値自体は駿台予備学校の方が低くなります。
    ただ、他の医学部との比較でも駿台予備学校の方が東京医科大学を低めにしています。

     

    河合塾と駿台予備学校のどちらの偏差値が正しいかは、なんとも言えませんが両方を頭に入れて考えるのが正しい考え方と言えます。

     

     

    3-2.併願されやすい大学

     

    医学部一般選抜の受験校は試験日程によって毎年、動向が変化します。
    2023年度入試の例を見ると、東邦大学医学部、東京医科大学、東京慈恵会医科大学の1次試験が3日連続でありました。
    東京慈恵会医科大学を第一志望とする受験生は前日の東京医科大学は受けにくかったと思われます。

     

    東邦大学医学部を受けて翌日の東京医科大学は受けずに1日空けて、東京慈恵会医科大学に臨む受験生も少なくなかったと考えられます。

     

    これが2024年度入試では東京医科大学と東京慈恵会医科大学の1次試験日が離れましたので、東京慈恵会医科大学と併願する受験生が多くなると思われます。

     

    この他に、同じ東京の杏林大学医学部も東京医科大学の併願校となりやすい大学です。

     

    ただ、私立医学部受験生の多くは「医学部ならどこでもいい」と言うのが本音ですから、多くの大学を併願することが一般的になります。

     

     

     

    4.東京医科大学受験のポイントを解説

     

    4-1.入試対策

     

    東京医科大学では学校推薦型選抜、一般選抜、共通テスト利用入試と3種類の医学部入試を行っています。

     

    それぞれ、試験内容が異なりますので、試験内容に合わせた入試対策が必要です。
    一般選抜と共通テスト利用入試の試験内容は、他の医学部と変わりませんので東京医科大学の入試対策としては、過去問対策がメインとなります。

     

    一方、東京医科大学の推薦入試(学校推薦型選抜)の試験内容は東京医科大学独特なものになります。
    推薦入試を受験するのであれば、まず東京医科大学推薦入試の試験内容を把握することから入試対策が始まります。

     

    特に差が付きやすい、英語小論文対策は必ずやっておいて下さい。
    東京医科大学の英語小論文は対策なしでは、手が出ないと思います。

     

     

     

    4-2.面接対策

     

    東京医科大学の面接では、どの入試でも「医学部志望理由」と「東京医科大学志望理由」が聞かれます。
    この2つの質問は医学部面接では定番の質問です。
    受験生の皆さんも当然、準備をすると思います。

     

    東京医科大学の面接で特徴的なのは、「建学の精神」と「学是」についての質問です。
    この2つの質問は、東京医科大学のどの入試でも聞かれると考えてください。
    東京医科大学の面接官を務める教員は、東京医科大学について誇りを持っています。
    医学部入試は「東京医科大学の一員になる者を選抜する」ために行うものですから、東京医科大学について十分な理解を求めます。

     

    どの入試を受けるにせよ、東京医科大学の建学の精神、学是、そして設立の経緯については、しっかり理解しておいて下さい。
    また同時に、それらについての自分なりの解釈も言えるようにしておいて下さい。

     

    東京医科大学病院は、東京医科大学が考える医療を実践している場です。
    出来れば、試験前に東京医科大学病院を見ておくことをオススメします。

     

    また、MMIと言ってもいいような質問もされています。
    東京医科大学の面接対策としてはMMIもやっておくといいでしょう。

     

     

     

    5.東京医科大学にまつわるニュース

     

    5-1.東京医科大学の不正入試

     

    2018年7月に、東京医科大学医学部入試で「不正入試」があった、と報じられました。
    「文部科学省の官僚の子供を入学試験で特別別扱いをして入学させた」という報道は、その後のいくつかの大学での「医学部不適切入試」発覚に繋がりました。

     

    「不正入試」とは、本来合格出来ない受験生を何らかの操作、方法で合格させることです。
    東京医科大学は医学部入試で「不正入試」を行っていたことが明らかになり社会的に糾弾されました。

     

    東京医科大学の「不正入試」発覚をきっかけに文部科学省は、医学部を持つ大学全てで入試の総点検を実施しました。
    その結果、順天堂大学医学部などで女子受験生や多浪生を不利に扱っていたことが発覚しました。
    これが「不適切入試」です。

     

    東京医科大学では、「不正入試」だけでなく「不適切入試」も行われ、2013年度から2016年度の入試で女性、多浪などの理由で、合格ラインを上回りながら不合格になった受験生が109名いたことも明らかになりました。

     

    筆者が指導していた受験生も、「多浪」ということで不合格とされていたことが分かりました。
    その生徒は歯学部に進学しましたが、東京医科大学から「合格していた」と連絡があり、東京医科大学に入学しました。

     

    東京医科大学では本来合格していた受験生を救済、入学させた関係で2019年度入試では、募集人員を大きく減じざるを得ないことになりました。
    東京医科大学の2019年度一般入試では募集人員が、ほぼ半減したこともあり志願者は966名と急減しました。

     

    2020年度入試では募集人員も元に戻り、志願者も前年の966名から1916名に急回復しました。

     

    この「不正・不適切入試」発覚をきっかけに文部科学省が各大学医学部に強力な指導をして、現在では不適切入試は無くなりました。

     

     

     

    5-2.世界大学ランキングで、私立単科大学1位を獲得

     

    2023年9月に、イギリスの教育専門誌T.H.Eが「世界大学ランキング2024」を発表しました。
    このランキングで東京医科大学は、日本の私立単科大学で1位になりました。

     

    このランキングは「教育」、「研究環境」、「研究の質」、「産業」、「国際的展望」の5分野で算出されています。

     

    東京医科大学の底力を感じます。

     

     

    6.東京医科大学のまとめ
     

    東京医科大学は医学生たちが自分たちの理想の学び舎を作るために設立し、100年を超える歴史を持つ大学です。
    2018年に不正入試、不適切入試が発覚し大きなダメージを受けましたが、現在の経営陣が大学再生に向け大変な努力を重ね、新しい東京医科大学病院の開院も行いました。
    筆者も何度も新しい東京医科大学病院を見学しましたが、患者中心の素晴らしい病院だと感じます。

     

    東京医科大学の方と話したときに、筆者が感じた新病院の素晴らしさを具体的に話したところ、「面接でそれを言われたら落とせないですね」と話していました。

     

    次の100年に向かって新生東京医科大学は確実に歩みを進めています。