私立医学部受験 入試情報

メリオン独自のリサーチに基づく私立医学部入試に関する情報を大学・科目・入試別にそれぞれご案内しています。

私立医学部受験 入試情報

1.私立医学部受験の流れ

 

私立医学部受験は10月の総合型選抜(AO入試)から始まり、11月の学校推薦型選抜へと続きます。
多少の時期のズレはあっても、10月には私立医学部受験はスタートします。
そして年が明けて共通テストがあって、そのあとに本番とも言える私立医学部一般選抜が始まります。
一般選抜を前期と後期に分けて行う大学もありますが、私立医学部入試で最も募集人員が多いのは一般選抜(一般入試)前期になります。
また、一般選抜では共通テスト利用入試も行われます。

 

私立医学部の共通テスト利用入試は、「絶対受けた方がいい」という医学部入試ではありません。
募集人員が少ないこともあり、ボーダーライン得点率は非常に高くなります。
国公立医学部の共通テストボーダーラインを、私立医学部共通テスト利用入試のボーダーラインが上回ることも珍しくありません。
「国公立医学部より高い得点が必要」ということです。
私立医学部の共通テスト利用入試で合格する力があれば、通常の一般選抜(一般入試)で十分に合格できます。

 

国公立医学部受験を考えていない私立医学部専願者が、私立医学部の共通テスト利用入試のために、共通テスト対策に時間を掛けることには賛成出来ません。
特に国語や地歴公民に時間を使うことは慎重であるべきです。

 

私立医学部の共通テスト利用入試の試験科目は、大学によって異なります。
順天堂大学医学部のように、国語と地歴公民も必要な大学もあれば、杏林大学医学部のように国語と地歴公民を必要としない大学もあります。
私立医学部の共通テスト利用入試を考える際は、試験科目に注意してください。

 

なお、私立医学部一般選抜では国公立大学のような「足切り」はありません。

 

2.数学無しの試験もある

 

私立医学部一般選抜の試験科目は、基本的に英語、数学、理科2科目ですが、全ての私立医学部入試がそうと言うわけではありません。
私立医学部一般選抜の中には、昭和大学医学部帝京大学医学部のように「数学無し」で受けることが可能な大学もあります。

 

数学の試験範囲にも注意が必要です。
一般的には私立医学部一般選抜の数学の試験範囲は「数学Ⅲまで」ですが、東海大学医学部のように数学Ⅲが試験範囲に入っていない大学もあります。
「数学Ⅲからの出題は無い」ということになれば、受験生の負担はかなり軽くなります。
ただ、数学Ⅲをやらないということになれば、私立医学部の受験校が限られますので、慎重に考えることが必要です。

 

その東海大学医学部一般選抜では、理科は1科目になります。
「理科2科目のうち1科目は勝負できる自信はあるが、もう1科目が厳しい」という受験生にはチャンスが広がります。
試験科目を理解することで、自分に合った受験校を考えることが出来ます。

 

なお、一般選抜や共通テスト利用入試の前期と後期で試験科目が変わる大学もあります。
例えば近畿大学医学部共通テスト利用入試の試験科目は前期、中期、後期いずれも異なります。

 

「あの大学の試験科目は、こう」と決めつけることなく調べてください。
もし、自分で調べるのは大変だ、と考えるのなら私立医学部受験に詳しい予備校に相談するといいでしょう。
生徒でなくても教えてくれると思います。

 

3.突出する私立医学部の倍率

 

私立医学部が大変な激戦であることは、分かっていると思います。
とは言え、どれだけ激戦なのか、具体的には分かっていない受験生の皆さんが多いと思います。

 

日本私立学校振興・共済事業団法に基づいて政府全額出資で設立された文部科学省の外郭団体とも言える、日本私立学校振興・共済事業団が私立大学の「入学志願動向」を発表しています。
それによると、2021年度入試の医学部の志願倍率は24.1倍でした。
最も募集人員の多い、理・工学系の志願倍率は12.0倍、薬学部は6.4倍となっています。
文系学部では、文学部などの人文科学系学部が7.6倍、法学部や経済学部などの社会科学系学部が8.0倍でした。
医学部の24.1倍という倍率が他学部を圧倒する高倍率であることが分かります。
現在の大学受験では、私立医学部受験が飛び抜けて激戦であることが分かります。

 

4.他学部の入試と同じように考えてはいけない

 

前項で述べたように、私立大学の入学試験の中で医学部入試だけが特別な存在になっています。
医学部受験を他学部受験と同じように考えるわけには行きません。
大学入試全体の話の中に、医学部だけには当てはまらない話は非常に多くあります。

 

「推薦入試やAO入試では、大学にアピールするポイントが必要」といった話をよく聞きますが、医学部の推薦入試、AO入試には全く当てはまりません。
通常の学部が4年で卒業する中、6年間で医師国家試験に合格する知識を与えなくてはいけない医学部で何より大切なことは「医学部の勉強についていける人材か?」です。

 

「都市部の私立大学の入学者数を厳格化する」という話もありますが、医学部の入学者数は以前から、はるかに厳格に守られています。

 

大学受験全体の話の中には、医学部受験とは異なる話も少なくありません。
医学部受験生の皆さんは、そこには注意してください。

5.私立医学部の学校推薦型選抜

 

私立医学部受験で、メインとなるのは一般選抜(一般入試)であることは間違いありません。
しかし、医学部に進学する道は、それだけではありません。
学校推薦型選抜(推薦入試)もあります。

 

現在、20を超える私立医学部で学校推薦型選抜を行っています。
学校推薦型選抜には、受験資格があります。
受験資格を満たした受験生しか受けることが出来ません。
限られた受験生だけでの戦いになりますので、チャンスも当然広がります。
現役生限定であれば、手強い浪人生のいない戦いになります。
まず、自分が受験資格を満たす医学部推薦入試が無いか、調べてください。

 

私立医学部の推薦入試(学校推薦型選抜)は、試験内容が大学によって様々です。
岩手医科大学医学部のように、一般選抜と変わらない試験内容の大学もあれば、東京女子医科大学医学部のように、基本的に英語も数学も理科も出題されない大学もあります。
福岡大学医学部久留米大学医学部の推薦入試のように、英語と数学だけの大学もあります。
試験内容を調べ、自分に合った試験内容の医学部推薦入試を探してください。

 

私立医学部の推薦入試では過去問を公表しない大学が多くあります。
また、試験内容も「適性試験」としか書かれていなかったりして、試験内容が分かりにくいことがあります。
そういった時には、私立医学部推薦入試に詳しい予備校に聞いてみるといいでしょう。

 

6.私立医学部総合型選抜

 

私立医学部受験には、総合型選抜(AO入試)もあります。
AO入試は一般的には「人物重視の入学試験」といったことが言われます。
もちろん、私立医学部の総合型選抜(AO入試)に、「そういった視点は無い」とは言いませんが、医学部入試である限り「医学部の授業についていけるか」が何より重要な視点になります。
英語や数学、理科といったズバリの学力試験でなくても「能力を計る」という点は、総合型選抜(AO入試)であっても変わりません。

 

受験生の持っている能力の計り方、試験内容は様々です。
東邦大学医学部の総合入試の「基礎学力」のように「国語の試験」と言っていいような問題を出題する大学もあれば、東海大学医学部「希望の星」入試のオブザベーション評価のような特殊な試験を課す大学もあります。
推薦入試と同じように、「自分に合った試験」を探してください。

 

7.私立医学部受験での親の役割

 

私立大学の入学試験の中でも別格に厳しい医学部入試。
その医学部受験では親の役割も合格への重要な要素となります。

 

親は、受験生の最も身近で、最も強力な味方であって欲しいと思います。
親子の関係が良好であることで受験生本人も勉強に集中できます。
親の世代から見ると、受験生は全く頼りなく見えるかもしれません。
だからと言って、上から押さえつけるような叱責ばかりとならないように気を付けてください。

 

特に、国公立大学医学部を卒業なさった親の場合、「私立ならなんとでもなるだろう」という気持ちから、受験生本人に厳しく当たることがあるようです。
自分が医学部受験をしたころは、私立医学部は易しかったかもしれません。
しかし、現在は全く違います。
そのことを理解してください。
受験生である自分の子供を見ていて、怒りたくなることもあるでしょう。
しかし、叱責ばかりではなかなかいい方向には向きません。
少しでも「一緒に考える」態度を見せてください。
親からすると、勉強姿勢に物足りなさを感じることも多いと思います。
そんな時「もっと勉強しろ。これじゃあ医学部に受かるわけない」と言いたくなるかもしれません。
それだけでは、受験生本人は心を閉ざすだけです。
勉強に集中しきれない要因を聞いて、それを少しでも改善する提案をするといいでしょう。
そして、約束事を決めたら守られているか見守ってください。
親が「自分も受験生のころは精神的に辛かった」などと話すのもいいでしょう。
受験生は、親世代から見るとまだまだ子供です。
「甘い」と感じることも多いでしょう。
しかし、親は「口うるさくて顔も見たくない」存在とはならないように心掛けてください。
正論を言ったとしても、それで好転しなければ意味がありません。

 

8.医学部受験で、これだけは親が言ってはいけないこと

 

医学部受験生から「親がうるさくて勉強する気が失せる」といったことをよく聞きます。
受験生が特に嫌がることを3つ挙げます。

 

1つ目は「他人と比較する」です。
親から「小学生の時に塾が一緒だった、あの子はスパッと国立医学部に受かったのに、なんでうちの子はいつまでもモタモタなんだろう」「お兄ちゃんは何にも苦労を掛けなかったのに、お前は…」
つい、言ってしまうのでしょうが、モチベーションを下げてしまいます。
受験生は自分でも苦しんでいます。
そこに他人との比較をされると、やる気を削ぐことに繋がりかねません。

 

2つ目は「人の話を鵜呑みにして話す」です。
母親がママ友から聞いた話を受験生にそのまま話すと「お母さんは、何にも分かってない」と母親の話を聞こうとしなくなります。
子供を医学部に合格させたママ友の話だとしても、たった一例だけの話です。
自分の子供にも通用するかは分かりません。
そこは慎重に考えてください。
また、聞いた話が単なるうわさ話であることもありますので、気を付けてください。

 

3つめは「自分の受験時代と同じ感覚で話す」です。
親世代の受験生と現在の受験生は、全く違います。
「寝ないで勉強」「気合で頑張れ」といった根性論は通じません。
今の受験生は、合理的な勉強をしたがります。
「寝ないと記憶は定着しない」と考えています。
問題集などの教材も進歩しています。
動画での学習やオンラインでの個別指導も当たり前です。
スマホの小さな画面でも勉強することが出来るのが現在の受験生です。

 

また、私立医学部の状況も様変わりしています。
現在の医学部は突出した難関学部になっています。
自分が受験生だった頃の感覚で話すとおかしな話になってしまいます。
「自分の時代とは違うんだ」ということを理解してください。

英語の傾向と対策

私立医学部で最も配点が高いのが英語です。
数学や理科と同じ配点の大学も少なくありませんが、英語の配点が高くなることは珍しくありません。
数学より英語の配点が高くなることはあっても、英語より数学の配点が高くなることはありません。

 

私立医学部の英語で合否を分ける問題は長文問題です。
そうなれば「長文問題さえ頑張ればいい」と思いがちですが、そうではありません。
英語は総合力が重要です。
長文を早く正確に読むためには、文法力や単語・熟語力などの英語の基本が欠かせません。
英語の基礎体力を鍛えることを忘れないでください。

 

実際の私立医学部受験の英語は、大学によって様々です。
マーク式もあれば記述式もあります。
英作文と一口に言っても、テーマ型英作文であったり、長文中の日本語を英訳する問題であったりと、大学によって異なります。
過去問を使って、志望校の英語ではどういった問題が出題されるのかを確認することは忘れないでください。

 

また、私立医学部の英語は「試験時間に比べ量が多い」ことが大きな特徴です。
過去問で時間配分を練習しておくことは合格点を取ることに直結します。

数学の傾向と対策

私立医学部受験に備えて数学を勉強する際に忘れてはならないことが「将来目指しているのは、医者であって数学者ではない」ということです。
将来、数学者になるために数学の受験勉強をしているわけではないはずです。
とりあえずの目標は「志望校の数学で合格点を取る」ことでしょう。
数学が苦手なら「志望校の数学で足を引っ張らないようにする」だと思います。
「数学力を高めて、どんな難問も力でねじ伏せる」ことは理想ですが、私立医学部受験で合格するためには、そこまで必要ではありません。
必要なのは満点を取ることではなく、「志望校の入試で数学は、何回やっても合格点は確実に取れる」ことです。

 

私立医学部受験を考えた時「医学部は難しい。だから難しい問題も解ける必要がある」と考えてしまうかもしれませんが、そうではありません。
私立医学部の数学で一番大切なことは「他の受験生が解いてくる問題は自分も絶対に落とさない」です。
他の受験生が解いてくる問題を落としていては、医学部合格は難しくなります。

 

もう1点、私立医学部の数学の大きな特徴は「試験時間が短い」ことです。
私立医学部受験の数学では、単に解けるだけでなく「早く正確に解く」ことを目標に学習を進めてください。

化学の傾向と対策

国公立医学部の入試問題は多くの場合、理系学部共通問題となります。
しかし私立医学部入試では、医学部と他学部の受験生の質に大きな差があるため同じ問題というわけには行きません。
「医学部は、医学部独自の問題」となることが当たり前です。

 

そうなると医学部の化学の問題を作るのは、医学部教員となります。
このことから私立医学部の化学の大きな特徴が生まれます。
それは「生物っぽい問題が出題される」です。
核酸やATP、呼吸といった生命に密接にかかわる問題が出題されます。

 

生命科学分野の出題が多い大学として、まず昭和大学医学部が挙げられますが、この他にも東京慈恵会医科大学順天堂大学北里大学聖マリアンナ医科大学大阪医科薬科大学関西医科大学川崎医科大学などで生命科学分野の出題が目に付きます。
こういった大学を受験予定の場合はもちろん、私立医学部受験の化学の準備としては「生物っぽい問題」への対応力養成は必須といえます。
ここが、差が付くポイントとなります。
理論分野に気を取られがちですが、私立医学部受験の化学では有機分野の比重が高くなりがちですので、有機を固めることも忘れないでください。

生物の傾向と対策

「私立医学部の化学」の項でも述べましたが、私立医学部の入試問題は多くの場合、医学部の教員が問題を作成します。
医学部教員が作る入試問題ですから、医学部の生物の入試問題の大きな特徴として「医学部教員が関心を持つ分野からの出題が多い」ということがいえます。
私立医学部受験の生物を出題分野ごとに見ると、最もよく出題されているのが「反応と調節」の分野です。
次いで出題が多い分野は、「遺伝子・遺伝・変異」の分野になります。
この2つの分野は医学と直接的につながる分野で、医学部教員の関心も高い分野でしょう。
この2つの分野の出題比率が高い状況はこれからも変わらないと考えられます。

 

もう1点、私立医学部受験の生物の特徴として「最近、大きな話題となったことに関係した問題が出題される」ことも挙げられます。
これも「作問者である医学部教員が関心を持った」ということに他なりません。

 

最後に、私立医学部受験の生物では苦手分野を作らないことが大切です。
バランスのいい学習を心掛けてください。

物理の傾向と対策

私立医学部受験の物理を出題分野ごとに見ると、毎年力学が約30%を占め、最も多く出題されています。
ただ、電磁気の出題も、力学に近い割合で出題されています。
私立医学部受験の物理では、力学と電磁気が最重要分野であることは間違いありません。
まずは、この分野の基礎固めを進めてください。
その他の分野では、波動と熱力学もよく出題されています。

 

私立医学部受験の物理の大きな特徴は「原子も出題される」です。
物理の出題範囲から原子が除外されている大学もありますが、出題範囲に入っていれば準備をしないわけにはいきません。
他の受験生が手薄になりがちな分野ですから、ここで差をつけることも可能になります。
私立医学部の物理を学習していく中で重要なことは「基本的な法則や原理、用語の意味などを完全にマスターする」ことです。
公式を単に暗記するだけでなく、物理的な現象と併せて理解することを心掛けてください。
個性的な出題をする大学もありますので、志望校の過去問研究は必須です。

国語の傾向と対策

私立医学部受験では、国語は不要のような気がするかもしれませんが、そうではありません。
共通テスト利用入試では、順天堂大学東京医科大学などのように国語も合否判定に使う大学があります。
ただ、私立医学部の共通テスト利用入試の国語は、現代文のみとする大学と、古文、漢文も必要とする大学の両方がありますので気を付けてください。

 

私立医学部一般選抜で、国語が選択可能な大学もあります。
昭和大学医学部は数学と国語のどちらかを選択します。
帝京大学は英語の他に2科目選択ですが、選択科目の中に国語も入っています。
昭和大学も帝京大学も現代文のみの出題です。

 

国語を選択するべきか迷った場合は、「過去問を解いて決める」です。
過去問を解いて、「国語の得点の方が高くなる」と考えた場合は、国語を選択してください。
私立医学部の国語は現代文だけですから、負担はそれほど大きくはないでしょう。
特に医学部再受験生は「国語という手はないか?」を検討してください。
自分が思っている以上に取れることがよくあります。

 

私立医学部の国語は、この他にもあります。
東邦大学医学部「基礎学力」です。
一般選抜とAO入試で出題されますが、「現代文」といってもよいような試験です。
東邦大学医学部志望者は「基礎学力」対策も忘れないでください。

社会の傾向と対策

私立医学部受験で地歴公民(社会)が必要になるのは、共通テストを利用する入試だけです。
「共通テスト利用入試での合格を目指し、地歴公民の勉強をする」ことには賛成出来ません。

 

国公立医学部と私立医学部を併願するのであればいいのですが、私立医学部だけを受験するのであれば地歴公民の勉強は勧めません。
共通テスト利用入試を考えるのであれば、地歴公民を必要としない共通テスト利用入試を考えるべきです。
私立医学部の共通テスト併用試験も、その難易度はかなり高くなります。
地歴公民に費やす時間は、英語、数学、理科に使う方が医学部合格の可能性は高くなりますので、地歴公民は受験勉強としては進めない方がいいでしょう。

面接の傾向と対策

私立医学部受験の最後の壁が、面接です。
優秀な受験生が殺到している私立医学部受験の現状では、「学力で一定程度絞った後は、その中から入れたい受験生を入れる」という流れになります。
聖マリアンナ医科大学のように、面接の配点を、数学や英語より高い150点とする大学もあります。
その他にも金沢医科大学は110点、兵庫医科大学は100点、昭和大学は70点など面接に高い配点を付ける大学は珍しくありません。
日本大学医学部の2次試験では英語、数学、面接が行われますが、配点はどれも同じ60点になっています。

 

また、「面接試験の結果、基準に達しないと判断された場合は学力試験の結果によらず不合格とする」とはっきり書いている大学も少なくありません。
私立医学部受験の面接対策の第一歩は「この受験生はやめておこう」と面接官に思われないようにすることからです。

 

総合大学であっても、医学部の面接は医学部の教員が行います。
他学部の教員は出てきません。
医学部受験の面接のポイントは「医学部教員の目からは、どう見えるか」です。
医学部教員は受験生を合格させると6年間、責任を持たなければなりません。
その立場の人から、「どう見えるか」です。
「医学部の面接だからこうだろう」という想像で面接対策をやっていては、的確な医学部の面接対策は出来ないでしょう。
出来れば、想像ではなく医学部教員の本音が分かっている人に指導してもらうと安心です。
「医学部の面接は何のために行うのか?」という問いに「将来、良き医師になるかを見極めるため」と考えているようでは十分な面接対策は出来ません。
「医学部の面接指導の経験豊富」は意味がありません。
想像での指導は、いくら経験を重ねても十分とは言えません。
近くに医学部教員の本音を分かっている人がいなければ、オープンキャンパスなどで医学部の教員にストレートに聞くのもいいと思います。

 

私立医学部の面接は大きく分けて個人面接グループ面接グループ討論MMIの4つに分けられます。
どの面接も、具体的な内容は大学により違いがあります。
志望校の面接は、どのタイプなのかを調べ、さらに具体的にはどのように行われるかを調べて志望校の面接に合わせた準備を進めてください。
また、東海大学医学部「希望の星」入試のオブザベーション評価「展学のすすめ」のプレゼン面接獨協医科大学AO入試のワークショップなど特殊な面接もあります。
いずれにしても、「志望校の面接対策」を進めてください。

 

個人面接は、毎年同じようなことが聞かれます。
特によく聞かれるのが「なぜ、医学部なのか?」「なぜ、この大学なのか?」です。
どこの大学の個人面接でも、まずここをしっかりさせてください。
この時、「表面的な答えにならない」ように注意してください。
「医師として世の中に貢献したい」では「医師でなくても世の中に貢献できるのでは?」となります。
「この大学の体験実習に魅力を感じた」なら「体験実習をやってない大学は無いよ」となります。
一歩踏み込んだ答えが言えるように準備してください。
なお、医学部再受験生には、単に「医学部志望理由」ではなく「なぜ今、医学部なのか」となります。
「今」が入りますので、それに対する答えを準備してください。

 

グループ面接グループ討論「受験生を比較するため」に行われます。
個人面接では差をつけにくくても、何人かの受験生を一度に試せば差をつけやすくなります。
それだけに個人面接以上に怖い面接です。
福岡大学医学部の面接のように、グループ面接とグループ討論が入り混じった面接もあります。
グループ討論は、結論を求める大学と結論を求めない大学があります。
まずは、志望校のグループ面接、グループ討論がどのように行われるかを調べてください。

 

最近、私立医学部の面接で増えてきているのがMMIです。課題型面接と言われたりもします。これは、個人面接は受験生の対策が進み、なかなか受験生の本当の姿が見えにくくなっていることによります。
地方の現役生と専門予備校で鍛えられた浪人生では仕上がりが明らかに違うこともあり、受験生が事前の準備をしにくいMMIの導入が進んでいます。
確かにMMIは、何が問われるか分かりませんので事前の準備はしにくいのですが、MMIそのものに対する「慣れ」は重要です。
様々なMMIを経験することで試験当日は落ち着いて答えられると思います。
MMIのポイントは、「どう答えても間違いではない」ということです。
与えられた課題に対し「自分はこう考える」ということを理路整然と答えられることが何より大切です。
そのためには「慣れ」が欠かせません。

小論文の傾向と対策

私立医学部合格のためには、小論文は避けて通れません。
高校の授業で小論文の授業があるケースは少ないので、現実的には医学部の小論文対策は自分でやらざるを得ないでしょう。

 

では、私立医学部受験で小論文はどこを目指せばいいのでしょうか?
何といっても第一に「指定された字数を書ける」です。
私立医学部受験の小論文では「600字以上、800字以内」などと字数が指定されます。
これが守れないと「採点対象外」として採点すらしてもらえないと考えてください。

 

小論文に慣れていないと、「そんなに書けない」となってしまいがちです。
どんな問題が出題されても「必要字数は書ける」ことが私立医学部の小論文では何より重要です。
「知っていることなら書けるけど、知らないことは書けない」は非常に危険です。
「知らないことでも遮二無二書く」ことが医学部合格のためには必要です。
ある大学では小論文の採点は「内容は見ない。解答用紙の何行目まで書かれているかを見る」と言っています。
そこまで極端な大学ばかりではありませんが、やはり「指定された字数を書き切る」ことは重要です。
そのためには、小論文に対する慣れが必要です。
小論文に多くの時間を割く必要はありませんが、「慣れ」は必要です。

 

私立医学部受験の小論文対策で、次に必ずやってもらいたいことは「書いたら第三者に見てもらう」です。
小論文を書くと、だいたい書いた本人は「上手く書けた」と思うものです。
しかし、実際の医学部受験の小論文は、第三者が評価します。
「他人が読んだとき、どうなのか」を知らなければ、小論文は上達しません。

 

「書き慣れることと他人の評価」は小論文対策の二本柱です。医学部受験の小論文に多くの時間を使う必要はありません。
やるべきことを理解して要領よく小論文対策を進めてください。

 

特に、学校推薦型選抜(推薦入試)や総合型選抜(AO入試)を受験する予定であれば、早めからの準備が欠かせません。
また、受験予定校の小論文がどういったタイプの小論文かを調べて、しっかり対策を進めてください。
私立医学部の小論文と言っても、国語的な要素が入って来たり、要約を求められたり、英文の課題文が出されたりします。
推薦・AOの場合は1校に集中出来ますので、十分な準備が出来ます。
過去問が公表されていなければ、予備校に聞けば内容を教えてくれるはずです。

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